【今更聞けない】新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者が発生し店舗休業した場合の社内での勤怠上の取り扱いについて【解説】
社会保険労務士 山口です。
新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増え始めており、「第7波到来」との憶測がされているようです。日本政府は「第7波への対応で政府から強い行動制限を行わず、感染を抑えつつ経済活動を維持したい」という旨の方針が示されております。
感染力の強い株による感染拡大も報告されており、これまで同様の感染予防対策をする必要があると思われます。
会社としても、社内で感染者が出た場合に備えて対応を考えておく必要があります。
そのような中、静岡県中部で活動する弊社の顧問先会社様より急増している次のようなご相談事項について解説いたします。
◆小売店を経営しています。従業員の中に、新型コロナウイルス感染者及び同居家族が新型コロナウイルスに感染したことにより濃厚接触者認定を受け都道府県より就業制限を受けた者(以下、「濃厚接触者」と呼称します)が複数発生しました。店舗を運営できる最低限の人数が確保できないため、店舗営業を中止し全従業員に休んでもらうことにしました。この場合の従業員の勤怠上の取り扱い及び給与の支払いはどうすれば良いでしょうか?
新型コロナウイルス感染者及び濃厚接触者とそれ以外の方で取り扱いは変わります。一つずつ確認していきます
①新型コロナウイルス感染者及び濃厚接触者を休業させた場合
→通常の私傷病による欠勤となります。
欠勤部分はノーワークノーペイの原則に従い不就労控除を行います。
◆新型コロナウイルス感染者及び濃厚接触者に対する休業手当(労働基準法第26条)の支払いは?
都道府県知事が行う就業制限は「使用者の責に帰すべき休業」には当てはまらないため労働基準法第26条に定める休業手当の支払いは不要です。
◆年次有給休暇の活用も
従業員が希望した場合には「年次有給休暇」を取得していただく方法も考えられます。
◆新型コロナウイルス感染者及び濃厚接触者を除く従業員を休業させた場合
→事業主の指示に基づく休業となります。
◆休業手当(労働基準法第26条)の支払いは?
都道府県知事が行う就業制限がされていない場合、「使用者の責に帰すべき休業」に当てはまるため、労働基準法第26条に定める休業手当の支払いが必要となります。
◆店舗運営人数の確保は「事業主の管理責任」
そのため、店舗運営人数を確保できないとの理由は「不可抗力」とは認められない可能性があります。新型コロナウイルス感染者及び濃厚接触者を除く従業員を店舗休業に伴い休業させる場合には休業手当の支払いが必要となります。
人員の確保が難しく、どうしても営業が難しい場合には店舗バックヤードでの作業や、他店舗での就業の可否を検討してみてはいかがでしょうか。
◆厚生労働省のホームページにて詳細を確認してください。
新型コロナに関するQ&A(労働者の方向け)厚生労働省HP
新型コロナに関するQ&A(企業の方向け)厚生労働省HP
◆濃厚接触者の定義・待機期間については都道府県ホームページにて確認してください。
「新型コロナウイルス感染症患者等濃厚接触者の待機期間について」ふじのくに静岡県公式HP