2023.01.11
法改正
【最新情報】デジタル賃金払い解禁(令和5年4月1日以降)会社として行うべきことは?
社会保険労務士の山口です。
近年、キャッシュレス決済が普及している世の中の流れに合わせて、従業員への賃金支払いについても「〇〇ペイ」のような資金移動事業者の口座への支払いができるようになります。
労働基準法施行規則が改正され(令和4年厚生労働省令第158号)、使用者が労働者に賃金を支払う場合において、従来から認められていた銀行その他の金融機関の預金または貯金の口座への賃金の振込及び証券会社の一定の要件を満たす預り金に該当する証券総合口座への賃金の払込に加え、厚生労働大臣が指定する資金移動業者への賃金の資金移動による支払いが認められることになりました。
◆資金移動事業者とは
銀行以外の者が為替取引を行うことについて「資金決済に関する法律」にもとづき、内閣総理大臣の登録を受けた事業者のことを言います。令和4年12月2日時点で84の事業者が登録を受けています。
資金移動業者は令和5年4月1日以降厚生労働省大臣に指定申請を行い、厚生労働省で審査を行い、基準を満たしている場合にその事業者を指定します。主な基準は下記のようなものがあります。
- 破産等により資金移動業者の債務の履行が困難となった時に、労働者に対して負担する債務を速やかに労働者に保証する仕組みを有していること。
- 最後に口座残高が変動した日から少なくとも10年は口座残高が有効であること。
- 現金自動支払機(ATM)を利用すること等により口座への資金移動にかかる額(1円単位)の受け取りができ、かつ、少なくとも毎月1回は手数料を負担することなく受け取りができること。また、口座への資金移動が1円単位でできること。 等
◆賃金のデジタル払いを開始するために会社が行うべきことは?
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合と、ない場合は労働者の過半数を代表する者と、下記事項について労使協定を締結します。
- 賃金デジタル払いの対象となる労働者の範囲
- 取扱指定資金移動業者の範囲
また、賃金のデジタル払いを希望する労働者に対し、留意事項を説明し、個々の同意を得ることが必要となります。
→「同意書・資金移動業者口座への賃金支払に関する留意事項」(厚生労働省HP)
◆デジタル給与払いは選択肢の一つ
労働者が希望しない場合には賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、また、希望しない労働者に強制してはいけません。