被保険者数100人超の会社は注意!短時間労働者に対する社会保険適用拡大(R4.10~)について ②新たな加入対象者
令和2年6月の法律改正に伴い、令和4年10月以降短時間労働者に対し社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用が拡大されます。適用拡大まで1年を切りました。直前になって慌てることのないよう一つずつ要件を確認していきましょう。
今回は令和4年10月以降適用対象者となる「新たな加入対象者(短時間労働者)」について解説します。
新たな加入対象者となる方は以下の4つの要件を全て満たす方です。
- ①週所定労働時間が20時間以上30時間未満
- ②月額賃金が88000円以上
- ③2か月超の雇用見込みがある
- ④学生ではない
それぞれの要件を細かく見ていきます。
①週所定労働時間が20時間以上30時間未満(フルタイム労働者の週所定労働時間が40時間の場合)
雇用契約上の所定労働時間で判断します。そのため、臨時で生じた残業時間や休日出勤時間は含みません。
契約上20時間未満の場合でも、実労働時間が2か月連続で一週20時間以上となりなお引き続き同様の労働時間が続くと見込まれる場合には3か月目から保険加入となります。
週によって所定労働時間が変動する場合には下記の方法で平均を算出して判断します。
- 一定の周期により変動する等の場合には、当該周期における労働時間を当該周期における週数で割って1週間の平均労働時間を算出します。
- 一か月単位で労働時間が定められている場合には、一か月間の労働時間を「4.33(年間52週÷12か月)」で割って1週間の平均労働時間を算出します。
- 一年単位で労働時間が定められている場合には、一年間の労働時間を「52(年間週数)」で割って1年間の平均労働時間を算出します。
- 夏休みや年末年始など極端に労働時間が短く定められている月や繁忙期の為極端に労働時間が長く定められている場合にはこれらの月以外の通常の月で平均労働時間を算出します。
②月額賃金が88,000円以上
基本給と諸手当の合計で判断し、下記のものは含みません。
- 臨時に支払われる賃金(結婚祝い金など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 時間外手当、休日労働手当、深夜労働手当等の割増賃金
- 家族手当、通勤手当、精皆勤手当など最低賃金において算入しないことが定められた賃金
基本給が日給または時間給によって定められている場合には、同一事業所で同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける最も近い状態にある者が受けた報酬額の平均を算出します。最も近い状態にある者がいない場合には、個別の雇用契約等にもとづいて算出します。(所定労働日数×日給単価、所定労働時間×時間給単価など)
③2か月を超える雇用の見込みがある
施行日(令和4年10月)時点で判断します。具体的には下記の場合が要件を満たします。
- 期間の定めがない場合
- 雇用契約期間が2か月超である場合
- 雇用契約期間が2か月以内であっても「自動更新する・更新する可能性がある」と明示されている場合
- 雇用契約期間が2か月以内であっても同一事業所で同様の雇用契約により雇用された者が更新等により2か月を超えて雇用された実績がある場合
④学生ではない
大学、高等学校、専修学校、各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)等に在学する者は対象外となります。
ただし下記の方は対象となります
- 卒業見込証明書を有し、卒業前に就職し卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の者
- 休学中の者
- 大学の夜間部及び高等学校の夜間等の定時制課程の者
厚生労働省がリーフレットを公開しています。https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/jigyounusiri-huretto.pdf
次回は「新たに対象となる方に伝えるべきこと」をお伝えします。
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