「パワハラ会社」と言われないために会社がすべきこと パワハラ防止法とは?
令和4年4月1日より「パワハラ防止法」が中小企業にも適用されます。「パワハラ会社」と言われないために会社がすべきことを解説します。
◆「パワハラ防止法」とは?
正式名称は「労働施策の総合的な推進ならびに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」です。通称「パワハラ防止法」と呼ばれています。(文中では以下パワハラ防止法と呼称します)
令和2年(2020年)6月1日に改正法が施行され、事業主がパワハラに対し対策を講じることが義務付けられました。
当初は大企業のみが義務化の対象となり、中小企業は努力義務とされました。
※中小企業とは
- 資本金3億円以下または従業員300人以下の製造業、建設業、その他の業種
- 資本金1億円以下または従業員100人以下の卸売業
- 資本金5000万円以下または従業員100人以下のサービス業
- 資本金5000万円以下または従業員50名以下小売業
令和4年(2022年)4月1日より中小企業でも義務化されます。
◆パワハラ防止法に定められた「企業の責務」とは?
次の条文により、企業の責務が明確に記載されています。
労働施策の総合的な推進ならびに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
第30条の2
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
また、厚生労働大臣指針(令和2年1月15日)ではより具体的に「事業主が講ずべき措置」として次の4点を挙げています。
- 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
- 相談(苦情を含む。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 1から3までの措置と併せて講ずべき措置
一つずつ具体的に確認していきます。
1.事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
パワーハラスメントに関する方針やパワーハラスメント行為者に対し厳正な対処を行う旨を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発することが必要とされています。
具体的には
- 就業規則等の文書による周知啓発
- 社内報、パンフレット、社内ホームページ等による配布
- 周知啓発のための研修、講習等の実施
等が挙げられています。
2. 相談(苦情を含む。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 相談窓口の設置
- 相談に対応する担当者の指定
- 相談に対応する制度の設定
- 外部機関への対応委託
- 相談窓口担当者と人事部門の連携ができる仕組み
- 相談窓口担当者に対し、相談を受けた場合の対応について研修をおこなう
等が挙げられています。
3.職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 相談者及び行為者双方への事実関係確認
- 必要に応じて第三者からの事実関係聴取
- 調停など中立な第三者機関に紛争処理を委ねる
- 被害を受けた労働者に配慮のための措置(援助、配置転換、行為者による謝罪等)
等が挙げられています。
4. 1から3までの措置と併せて講ずべき措置
- 相談者及び行為者等のプライバシー保護のために必要な措置を講じる
- 相談者及び行為者等のプライバシー保護のために相談窓口の担当者に必要な研修を行う
- 相談者及び行為者等のプライバシー保護のために必要な措置を講じていることを社内報、パンフレット、社内ホームページ等に掲載し配布等をすること
- 相談者および協力者が不利益な取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
等が挙げられています。
◆措置を講じない場合は「パワハラ企業」の烙印を押されてしまいます・・・
第33条にて、「必要に応じて事業主に対して助言、指導又は勧告をする」とされており、勧告に従わない場合には「公表をする」とされています。
◆パワーハラスメントによる悪影響は?
- 職場の雰囲気悪化
- 従業員の精神疾患の発症
- 十分な能力が発揮できなくなる・生産性の低下
- 人材流出
- 企業イメージ悪化
- 訴訟等による損害賠償リスク
などが予想されます。
◆パワハラ対策のご相談承ります。
何が必要なのか、何をするべきなのか、一緒に考えましょう。ぜひご相談ください。